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住宅設備の自動化を選ぶ基準|快適な暮らしのために

私が子供だった頃と比べて、現代は多くのものが自動化され、大変便利な時代になりました。
住宅業界においても、自動でロックがかかるオートロックや、人の動きを感知して点灯するセンサー付き照明器具といった設備が当たり前になってきています。
その一方で、「本当にそこまで自動化する必要があるのだろうか」と感じる場面もあります。自動化されているにもかかわらず、かえって使いづらさを感じてしまうケースもあるのではないでしょうか。
今回は、何をどこまで自動化するのが最適なのか、その判断基準について考えてみたいと思います。
自動化の本質とは?『人間の意思が反映されているか』
事例1:コンビニエンスストアの自動ドア

身近な自動化の例として、コンビニエンスストアの自動ドアがあります。
現在は、手をかざすか軽く触れることでドアが開き、数秒後に自動で閉まる仕組みになっています。
実は以前、センサーに近づくだけでドアが開く方式が主流だった時期がありました。
この方式では、入店または出店する意思がないにもかかわらず、通りかかっただけでドアが開いてしまい、少し気まずい思いをしたことを覚えています。
つまり、必ずしも便利とは言い難い面があったのです。
課題は、人間の意思に関わらず近づくだけで開いてしまう点にありました。
現在の方式は、この課題を解消したものと言えるでしょう。
利用者の意思表示のもと開閉の動作だけを自動化することで、私たちはストレスなく自動化の恩恵を受けることができています。
全自動よりも、半自動のほうが快適だった好例と言えます。
事例2:高速道路のETCゲート

同じ出入り口の自動化でも、高速道路のインターチェンジはどうでしょうか。
ゲートに差し掛かると、自動的にETCカードが読み取られ、バーが開きます。
一見、人間の意思が反映されていないように見えますが、不便を感じることはほとんどありません。
むしろ、渋滞が大幅に解消され、非常に便利になりました。
コンビニのドアとの違いは何でしょうか。
それは、ゲートに差し掛かった時点で、100%通過する意思が決定しているという点にあると考えます。
つまり、ゲートに進入する段階で、すでに人間の意思決定が完了しているのです。
そのため、コンビニのドアのように都度意思表示をする必要がなく、完全な自動化でも快適に利用できているのです。
住宅設備における自動化の選び方
事例3:トイレの自動水洗機能

一般的な自動化設備として、トイレの自動水洗があります。
便座から立ち上がると自動で水が流れる仕組みです。
立ち上がった時点で水を流す意思は100%決定しているため、人間の意思は適切に反映されていると言えます。
ただし、タンク上の手洗いについては、少し事情が異なるかもしれません。
水洗と同時に手洗いの水が流れ始めるため、服装によってはまだ準備が整っていない段階で水が出てしまい、タイミングが合わない場合があります。
些細なことかもしれませんが、水が流れるタイミングに人間の意思が十分に反映されていない例と言えるでしょう。
理想を言えば、水洗の自動化と手洗いの自動化は、別々に制御できるほうが望ましいと感じています。
事例4:人感センサー付き照明


住宅でよく採用される自動化設備に、人感センサー付きの照明があります。岩村建設でも、階段や廊下などによくご提案させていただいています。
このセンサーライトの場合、前提条件が少し異なります。暗い場所でスイッチを探す負担を大きく軽減できるという、明確なメリットがあるのです。
そのため、多少の不便さがあっても、得られるメリットの大きさから十分に受け入れられると考えられます。
例えば、不要なときに点灯してしまう、あるいはまだその場にいるのに消灯してしまうといった現象は、人間の意思が完全には反映されていないために起こります。
しかし、暗闇で手探りでスイッチを探すことに比べれば、受け入れ可能な小さなデメリットと言えるでしょう。
逆に言えば、十分な明るさがあってスイッチ操作が容易な場所では、上記のデメリットが解消されない限り、センサー付き照明を選ぶメリットは小さいかもしれません。
通常の照明であれば、スイッチを押すという行為自体はそれほど大きな負担ではないからです。
まとめ:快適な自動化を選ぶために
以上、住宅設備の自動化について考えてきました。
自動化には確かにメリットがありますが、同時に注意すべき点もあると感じています。
最も大切なポイントは、その自動化が人間の意思を適切に反映した動きをするかどうかです。
もし人間の意思が十分に反映されない自動化であれば、よほど大きなメリットがない限り、導入する価値は限定的と言えるでしょう。
これからも、さまざまな設備が自動化されていくことと思います。
その際には、「自分の思い通りに動いてくれるか」「得られるメリットは十分に大きいか」といった視点で見極めながら、本当に快適になるような選択をしていきたいですね。