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ワクワクする家をつくる、デザインの話。 vol.2「明かり」

前回の「ワクワクする家をつくるには vol.1」では、「空間」についてお話しました。
今回は「明かり」についてお話したいと思います。
あくまでも私個人の見解ですので、学術的な話ではないことをお断りしておきます。
住宅空間においての「明かり」とは
「Ray is invisible. (光は見えない)」という言葉を聞いたことはありますか?
光=光線そのものは実は目に見えないという意味です。
確かに空間を通過している途中の光は、見ることができません。
物にあたって初めて、その光が何色なのか、どのくらいの明るさかがわかります。
つまり明かりとは空間を照らすものではなく、どんな物にどんな角度でどんな光を当てるか、「モノに当たる光のコントロール」ということになります。
では、どのように光を当てたら、人は心が動かされるのでしょうか。
ワクワクする明かりのつくり方
光が均一に届く空間=ワクワクしない

昭和の時代からある典型的な明かりは、部屋の真ん中に蛍光灯をつけて部屋全体を照らすというものでした。
光は部屋の中心から隅々へ拡散し、壁、床、天井を照らします。
また、壁や床に光が届くより前に人や机があれば、そこに光があたるので人や机が照らされます。
その結果、部屋の中どこにいても均一の明るさを感じてとても便利である一方、変化の乏しい空間になっていました。
光を一部分にだけ当てる=ワクワクする

一番上の写真を見てどう感じますか?
壁の一部に当たった光が印象的です。
でももし、この光が壁全面にあたっていたらどうでしょうか。
ただ眩しいだけの壁になっていたと思います。
つまり、光を均一に当てるのではなく一部にだけ当たることで、光があたっていない場所との対比が生まれて、印象的な明かりになります。
間接照明について
間接照明の本質は、柔らかな光の陰影


間接照明も同じ理屈で考えることができます。
間接照明というのは、照明が直接目に入らないように、壁と壁の間へ照明器具を取り付けることです。
その結果、柔らかな光の陰影が生まれ、見る人の心を動かす明かりとなります。
つまり間接照明の本質は、照明器具を隠すことではなく、光を一部遮ることで光の当たらない場所をつくること=影をつくることと言えます。
間接照明を設けても、光の当たらない場所を作らないと魅力的な明かりにはなりません。
明かりで印象的な空間をデザインする


光の陰影=光の当たる場所と当たらない場所をつくること、光の当たり方にコントラストをつけることなど、様々な形で明かりと空間をデザインします。
間接照明に限らず、スポットライトやダウンライトといった、照明器具それぞれの特徴を上手く使い、よりその空間に合った光のコントラストをつくることができます。
これを計画的に行うのが「照明計画」です。
家づくりの際には、光を強く当てたいところ、グラデーションで照らしたいところ、など試行錯誤を重ねながら適切な照明器具を選ぶ作業が必要です。
私たち岩村建設では、お客様の照明計画を考える際、暮らす人の心をあたたかく照らすような素敵な照明計画になるよう心がけています。
自然光を主役にする

ここまで照明器具についてお話してきましたが、最後に窓からの自然光=太陽光についてのお話を少しさせていただきます。
晴れた日の太陽の光はとても強く、またまっすぐに差し込んできます。
そのため、光と影の境目の線がとてもきれいに出ます。
この自然光を利用した建物が、建築家/安藤忠雄氏の「光の教会」です。
光と影を利用した繊細で緻密な設計の荘厳で印象深い建物です。
興味を持った方はぜひ一度実際に足を運んでみてください。