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Posted. 2024.06.19

断熱等級の問題点とは?

断熱等級の表1


住宅には断熱性能を表す指標として、断熱等級というものがあります。
正式には「断熱等性能等級」といい「品確法」という法律によって定められました。
客観的な判断材料としてとても価値あるものですが、寒冷地の建築会社としてちょっと気になる点もあったりします。
今回は、そのあたりも含めて断熱等級についてお話しをしたいと思います。

■断熱等級とは
断熱等級というものは、図にあるように地域とUa値の2つの要素によって定められています。

1つ目の要素である地域とは、場所によって異なる自然環境を考慮して日本を8つの地域に分けたものになります。
例えば北海道と東京では求められる断熱性能が違い、東京で快適に暮らせる性能でも北海道では寒くて暮らせないなんてこともあります。
そのため、断熱性能の基準を地域ごとに分けているわけです。

もう一つの要素であるUa値というのは、外皮平均熱貫流率といって建物固有の断熱性能のことです。
Ua値が小さいほど熱が通りにくい=高断熱の建物になり等級が上がります。

例えば4地域に建てたUa値=0.50の住宅は、断熱等級5(ZEH基準)をクリアした住宅ということになります。


■断熱等級のよさ
このような客観性のある基準というのは、お客様にとって住宅会社を判断するための目安の一つにすることができます。
多くの住宅会社が高断熱を謳っていますが、どのくらいの高断熱なのか会社によってバラバラだったりするので、この断熱等級を比較するとわかりやすくなるでしょう。

断熱等級の表2

■断熱等級の気になるところ
ただ、断熱等級は絶対値の指標ではないので注意が必要です。
ややこしくて説明が難しいのですが、例えば2地域・Ua値=0.50の「住宅A」は断熱等級3になるのに対して、5地域・Ua値=0.70の「住宅B」は断熱等級4となります。
つまり、断熱等級を比較すると「住宅B」のほうが高性能に見え、Ua値を比較すると「住宅A」のほうが高性能に見えてしまいます。
これではどちらが本当に高性能の断熱住宅かわかりません。
実際には「住宅A」のほうが高断熱住宅にもかかわらず、断熱等級だけを見るとまるで「住宅B」のほうが性能が上のように見えてくるわけです。
そのためお客様に誤解を生みかねません。

ちなみに弊社がある諏訪地域には6市町村があり、そのうち諏訪市、下諏訪町は4地域、岡谷市、茅野市、富士見町、原村は3地域に該当します。
弊社の住宅はUa値=0.40くらいになりますが、これは3、4地域では断熱等級5になります。
ところが東京に本社を置く会社は同じUa値=0.40でも、ホームページ上で断熱等級6を謳うことになります。

■断熱等級よりもUa値
断熱等級は地域ごとに基準が違うため、どうしてもこのような問題が出てきてしまいます。
結局、断熱等級よりも絶対評価のUa値のほうが、一番公正に比較検討できるのではないかと感じています。
そのため弊社では、断熱性能を表すときはなるべくUa値で表すようにしています。


断熱性能を比較検討する際には、このような注意点があることを知っていただき参考にしていただければ幸いです。

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