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八ヶ岳の麓/野辺山の保養所<現場レポート>

これから工事が始まります
久しぶりの現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するのは、長野県南佐久郡南牧村・野辺山での保養所新築工事です。
標高約1,400メートルに位置する高原地域で、夏は涼しく清々しい一方、冬は諏訪地域と比べてもずっと厳しい寒さになります。
こうした環境での建築において、最大のポイントとなるのが冬場の凍結対策です。
今回のレポートでは、その取り組みをご紹介します。
寒冷地での凍結対策

地面が凍るとはどういうことか——「凍結深度」について
建築の世界には、「凍結深度」という指標があります。
寒冷地では冬になると地面が凍結しますが、その凍結がどのくらいの深さまで及ぶかを示すものです。
この「凍結深度」より浅い位置に基礎を施工してしまうと、地中の水分が凍ることで建物が持ち上がる「凍上」という現象が起こります。
水道管の埋設深さも同様で、凍結深度より深い位置に埋設することが必要です。
今回の工事では凍結深度が1.2メートルとなっており、基礎工事・配管工事ともに最低1.2メートル以上の深さで施工します。
水回り設備の破裂リスクとその備え
寒冷地では、建物内の水回りが凍結・破裂するリスクも考慮が必要です。
今回は保養所という性格上、冬季に長期間無人となる可能性があり、暖房の熱源がなければどれほど断熱性能を高めても、建物内の温度を保つことができず、室内温度は低下していきます。
熱源がなければそのため、「凍らせないための熱源を確保する」か、「すべての水を抜く」かのいずれかの対策が必要になります。
凍結防止帯による対策
水道管に電熱線を沿わせ、その上から断熱材を巻く方法です。管内の水が凍らないよう常時保温します。
ただし、すべての配管を保温することは難しく、キッチンの水栓金具やトイレのタンク内など、細部にまで対応するには限りがあります。
水抜きによる対策
大元の止水栓を閉めた後、すべての蛇口を開けて配管内の水を抜く方法です。
ただし、給湯器内部や勾配のない管内の水を完全に排出するには専門業者によるコンプレッサーでの水抜き作業が必要となり、手間とコストが発生します。
今回採用した方法——床下エアコンによる低温連続運転
岩村建設では基礎断熱仕様を標準採用しているため、今回はそれを活かして床下にエアコンを設置して低温で24時間連続運転する方法をご提案しています。
電気代はかかりますが、万が一の破裂による修繕費や、都度の水抜き作業を依頼するコストを考えると、長期的には合理的で確実な選択肢と判断しました。
エアコン(ヒートポンプ)の特性と寒冷地での注意点
一点、エアコンの特性についても触れておきます。ヒートポンプ式のエアコンは、暖房として使う場合、外気温が低いほど暖房効率が低下するという性質があります。
冷房では逆に、外気が涼しいほど性能が上がります。
したがって、寒冷地でエアコンをメイン暖房として使うことは、最も寒い時期にもっとも性能が落ちるというリスクをはらんでいます。
今回は灯油温水パネル方式をメイン暖房とし、床下エアコンはあくまで凍結防止のための補助暖房として位置づけています。
快適な暖かさを追求するのではなく、「留守中も配管が凍らない程度の温度を保つ」ことを目的とした運用です。
完成は9月を予定しています
野辺山の澄んだ空気と豊かな自然の中に、機能性と快適さを兼ね備えた保養所が完成する日を、私たちも楽しみにしております。
引き続き、完成までの様子をレポートしてまいります。


施主 / 有限会社スリーエフ
設計・監理 / 株式会社ツチヤタケシ建築事務所